サーフィン
サーフィン 2010年
映像 2:58
「わたし」は擬人化された雪や猫のことなのか、声の主である人物のものなのか、それとも文字が自意識を持ち始めたのか、あるいはそれを見ることの出来る鑑賞者である「わたし」の事なのか。
「わたし」とは他の誰でもないこの自分の事を指しているはずなのに、誰にでも同じように当てはまってしまう言葉である。
「わたし」という言葉が主人公の小説を読んでいたり、歌詞に「わたし」というフレーズ出てくると、我を忘れて他者である「わたし」に憑依してしまう事がある。更には固有の名前や物語を持つ身体を伴った自分を忘れ、全てを見渡す神様にでもなったような気分になる。それは視点主の不在であり、見られる事なく見るという状態である。
そこからふと我に帰った瞬間、自分が自分の体で生きているという事がじりじりと感じられる。そして自分という主体がなければ、我を忘れる事もできなかったし、世界を知覚する事も出来ず、全てはなかったも同然である事に驚きを感じる。
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